禁煙外来を再開いたします!
治療薬の供給不足により、長らく休止しておりました禁煙外来を再開します!
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■喫煙の本質
たばこを吸うと肺からニコチンが取り込まれます。ニコチンは数秒で脳に到達し、脳内でドパミンという快楽物質が放出されます。
喫煙で快感を味わうのはこのドパミンの作用によるものです。代謝によって血中のニコチン濃度が低下してくると、快感の素であるドパミンも減少します。それを補うために次のたばこを吸い、ドパミンを出し続ける。これを続けていると、1本吸ってもすぐに次の1本が欲しくなるという無限ループから抜け出せなくなる。これが『ニコチン依存症』という病気です。 次のたばこを吸うと、ニコチン不足によるイライラや不快な症状が解消されるため、喫煙者はたばこが本来のストレスを解消した、発散した、スカッとした、と錯覚します。
■喫煙のリスク
・がん (肺がん・食道がん・咽頭がん・胃がん・肝臓がん・膵臓がん・子宮頸がん・膀胱がん)
・高血圧
・糖尿病
・心筋梗塞
・くも膜下出血、脳卒中
・慢性閉塞性肺疾患
・歯周病
・不妊
(参考)一般社団法人 日本禁煙外来発行 『禁煙ポケットブック第2版』より
http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/information/210715kinenpbook.pdf
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このように、喫煙には書ききれないくらいたくさんの合併症のリスクがあります。
健康寿命を延ばすためにも、禁煙は重要な課題のひとつです。
病気を予防し、未来の日本の医療費を下げる努力も私たち医療者の使命と考えています。
厚生労働省「国民健康・栄養調査」データより作成
喫煙率は年々減少しており、愛煙家の方々も肩身の狭い世の中になっているかと思います。
このブログを読んで頂いたことをきっかけに、ぜひ禁煙にチャレンジしてみませんか?
- 子どもが産まれるから禁煙したい!
- 喫煙所が無くなってきたから禁煙したい!
- たばこが値上がりしてきたから禁煙したい!
さまざまなきっかけがあると思いますが、『依存症』という病気にかかってしまった人に根性論は効きません。
風邪をひいたら病院にいって薬をもらうのと同じように、ニコチン依存症に対してもよく効くお薬があります。
ぜひ医療の力を借りて治療をはじめましょう!
■保険適応条件
- 直ちに禁煙しようという意思がある
- ニコチン依存症スクリーニングテスト(TDS)で5点以上である
ニコチン依存症スクリーニングテストを事前にダウンロードの上、記入した状態で持参いただきますと診察までスムーズです。
▶禁煙外来問診表のダウンロードはこちらから - ブリンクマン指数:〈1日の喫煙本数〉×〈喫煙年数〉=200以上である
- 禁煙治療を受けることを文章により同意している
(注)1年以内に禁煙治療を受けたことがある場合は、保険適応になりません
■治療法
貼り薬と飲み薬があります。
飲み薬は現在、供給停止中であり、貼り薬でのみ治療再開しております。
<貼り薬とは(ニコチンパッチ)>
ニコチンを含むシールを体に貼り付けることにより、ゆっくりと皮膚からニコチンを吸収します。
1日1回張り替えを行い、ニコチンの含有量を徐々に減らしていきながら8週間続けます。市販のニコチンパッチもありますが、禁煙外来での処方薬の方がニコチン含有量が最も多いです。
<メリット>
- ニコチンの離脱症状を抑えます
- 血中のニコチン濃度が24時間一定に保たれるので、効き目は1日中安定しています
- ニコチン以外の有害物質(一酸化炭素やタール等)は含まれていないので安全です
<デメリット>
- たばこを辞めてから使用する必要があります。
- たばこを吸いながらシールを貼ると血中のニコチン濃度が高くなるので危険です。
- シールかぶれ等の皮膚トラブル
■期間・費用
- 期間:8週間(最大でも10週まで)
- 費用:窓口負担は毎回1000~2000円程度(3割負担の場合)
+薬局にてお薬代がかかります(15,000円程度)
最後まで読んでいただきありがとうございました。まずは禁煙への第一歩を!
臨床検査部